一人法務 総務 総務法務を応援―16― 法改正の動き(2020年1月)

2020年もすでに始動して1週間が経過しようとしています。
総務、法務の担当者が注目しておく法改正のトピックスから抜粋です。

(1)会社法一部改正  2019年12月11日公布

2019年12月11日公布された会社法の一部を改正する法律
改正の概要
法務省民事局のサイトから引用

おおまかには、
株主総会、取締役等の管理、社債の管理等についての変更があります。
施行までにはまだ間がありますが、
今の段階で関連資料に目を通しておくと、準備がスムーズに運ぶでしょう。

(2)登記―QRコード付き書面申請の開始  2020年1月14日開始予定

不動産や会社の登記申請も、シンプルな申請内容であれば、
本人が申請手続きをすることは多くあるでしょう。
登記の専門家である司法書士であれば
オンライン申請が当たり前になっていますが、
本人申請で電子証明書が無い場合でも、
オンライン申請システムを利用することができるようになります。

引用 法務省のサイトより

重要な注意点として、オンライン申請とは異なり、
申請書に記載された情報を登記所にオンラインで送信しただけでは
登記所で受け付けられたことにはなりません。
利用のメリットは、web上で用意された様式に記入していくので簡単にできる、
処理状況を確認できる、データの再利用が可能、という点です。
社内担当者が登記申請をしている企業で利用なさってみて下さい。
また、この変更に伴い様式も変わります。

 

(3)改正特許法  2020年4月1日施行

2019年5月に公布された「特許法等の一部を改正する法律」が、
本年4月1日から施行されます。
その中で注目しているのが意匠法の改正です。
下記はおおよその説明ですので、
実際に検討する場合には弁理士へ相談なさって下さい。

♠現行では“物品”が要件でしたが、
この改正で記録や表示をされていない画像も対象になります。
♠建築物の外観、内装のデザインも意匠法による保護対象になります。
建築デザイン事業であれば、
店舗を多く展開している企業、
建築物や家具インテリアを事業としている企業も関係する改正です。
♠関連意匠の出願可能期間を
本意匠の出願日から10年以内までと、大幅に延長します。
♠意匠権の存続期間が出願日から25年、に変更されます。

※自社のデザイン等の保護ができるようになりますが、
反対に他者の意匠権を侵害していないか、
という点に留意する必要も生じます。

(4)厚生年金の適用対象企業の拡大  検討開始

 

◇ミニ知識  現行制度の加入要件
短時間労働者(パートタイマー等)では、次の要件を満たすと
強制加入することが決められています。
①従業員501人以上の企業である
②週20時間以上の就業
③月収8万8,000円以上
④想定の勤務期間が1年以上

特に企業規模について規模要件を下げることが検討されています。
但しその場合には事業主負担が増加しますので、
段階的に対象を拡大するなどの方策も同時に考えられます。

(5)食品衛生法  2019年~2020年施行

食品衛生法の改正に伴い、営業許可制度も変わります。
政令、省令の改正によって営業許可業種の区分、
施設の基準について見直しがなされます。
現行の政令で規定された34許可業種以外に、
事業者の届出制があらたに設けられます。

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本年は東京オリンピックの年でもあり、
東京都では通勤に関して“スムーズビズ”による交通混在緩和のお願いなど、
法改正以外にも総務担当がキャッチしたい情報が満載の年です。