利用規約~改正民法にともなう修正はしましたか

改正民法が施行されてから1年以上がたちました。
2021年半ばになった今、まだ改正民法に対応していない利用規約をよくみかけます。

【契約書・規約・個人情報の取扱い etc. ~~webや書籍のひな形そのままの企業】

webや書籍でみつけたひな形をそのまま、又は寄せ集めて利用している企業。
これはもう やめましょう。
例えば定型契約書ブラッシュアップの御相談をいただき、従前の契約書を見るとひな形そのまま、という事がかなりあります。
自社の実務に無関係な条項まで、意味がわからないまま載せていることも少なくありません。

ひな形を利用しているリスク
・「書いてあるから安心」と思っていたら法的に無効だった
・準拠している法が古い
・不必要に厳格にしたtoo much条文をめぐる相手方との交渉ループで契約が遅れる
・かえって自社が莫大な損害賠償責任を負う
・表現があいまいで、定義を争って訴訟にまで発展してしまう
etc.

法的文書作成は専門家に御相談ください。

【改正民法――定型約款の新設】

今回は中で定型約款について取り上げます。
改正民法では「定型約款」の規定が新設されています。
この場合の定型約款というのはサービス利用規約や約款、つまりその名称にかかわらず、不特定多数の相手に対して同一の内容で契約するものをいいます。
わかりやすい例としては、保険契約の約款、webサービス利用規約などです。

(参考)
民法第548条の2
(定型約款の合意)
1 定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。以下同じ。)を行うことの合意(次条において「定型取引合意」という。)をした者は、次に掲げる場合には、定型約款(定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。以下同じ。)の個別の条項についても合意をしたものとみなす。
 一 定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。
 二 定型約款を準備した者(以下「定型約款準備者」という。)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。
2 前項の規定にかかわらず、同項の条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第一条第二項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなす。

《改正法に対応する修正をおこなったか 見分けるポイント》

下記が見分けやすいポイントと思われます。
① 「利用規約の変更」が、サービス提供者側の判断だけで一方的にできるようになっていないか。
   従前のまま、サービス提供者の判断だけで重要な内容を変更できる規定になっている場合には、変更したつもりでいても実際にはその変更が有効にならないことがあります。

② 利用者が開示している利用規約に「合意した」ことが明確にできる仕組みか。
  (参考)経済産業省 「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」

改正前によく見られた「ご利用開始により、本規約に同意したとみなします。」という表現は修正する方が良いでしょう。

③ その利用規約が、契約内容となるものであることを明記しているか。
  わかりやすい表現で、見やすい箇所におくことが必要です。

【著作権法におけるオーバーライド問題】

 著作権法では私的利用等のいくつかの場合について、著作権者の許諾を得ずに利用できることを定めています。
(参照条文) 
著作権法 著作権法第30条~第49条
これに対し、利用規約でコンテンツ利用禁止の条項を定め、著作権法で許諾を得ない利用がみとめられていても規約によって禁止することができるのか、という問題があります。

契約自由の原則により原則としては禁止する規定は有効ですが、ケースにより判断されるのが現状です。
許諾なしに利用した場合には著作権法には違反していないが、契約に違反する、ということに留意して下さい。

_/ _/ _/ _/ _/ _/ _/ _/ _/ _/

定型や単発の契約書作成、利用規約のブラッシュアップなどの御相談は問い合わせからどうぞ。