不動産取引も電子契約で

当事務所のメイン業務は契約書ドラフトや精査です。
この数年で電子契約をお使いの企業が格段に増えました。
小さな会社でもそのメリットを感じ上手に利用なさっています。
長く用地売買企業の法務で勤務していたこともあり、今回は不動産取引の電子契約についてのコラムです。

資産としての不動産の重要性は非常に高いもので、住居も含め一生に一度の買い物または親から受け継いだ住居に住み続けることは一般的です。
そのため宅地建物取引業者の義務は法令により厳しく定められています。

【参考】電子化関係法令
■ デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律
■ 電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律
■ 電子署名及び認証業務に関する法律
■ 宅地建物取引業法
■ 宅地建物取引業法施行規則
■ 標準媒介契約約款(平成2年建設省告示第115号)
■ 重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル
etc.

宅建業者の業務のなかでも重要なものが、契約です。
自社が売主になるケース、仲介(媒介)のケース。
仲介業者としての権限を証する媒介契約書に始まり、契約書とそれに付随する重要事項説明は、今までに不動産売買や賃貸借した経験のある人であれば御存知と思います。

その不動産に関する重要事項説明、契約書もIT化が進み、2025年現在では電子契約も許可されています。

電子契約には印紙が不要

印紙不要は価格が高額になりやすい不動産契約においては大きなメリットです。
今後、電子契約が一般的になれば印紙税法が改正されることもあり得ますので注目したい点です。

賃貸借契約は2017年から、売買契約は2021年から電子契約が可能になりました。

重要事項説明書(35条書面)は令和4年5月18日から書面電子化が可能になり、37条書面の電子化と併せてオンライン取引が可能になりました。
書面交付を電子書面でするには、その旨の事前承諾を受けることが宅建業者の義務です。

国土交通省のHPより承諾書サンプル

引き続き、宅建業者から対面で説明を受け、紙書面で重要事項説明を受け取ることも選択できます。
今はまだこちらの方が多いでしょう。

〔消費者サイド注意点〕
♦電子契約には電子署名が必須です。
紙の契約書に署名押印して契約する際に、重要な契約であれば実印により捺印し、その印鑑登録証明書を相手に提出することと同様に真実の当人であるか、は契約行為の基礎です。
個人であればマイナンバーカードを用いて電子署名ができます。
♦タイムスタンプは法的に義務付けられてはいませんが、電子契約締結後に改変されていない点も重要であり、タイムスタンプにより契約書作成時刻が証明されれば改竄されていないことが明確になります。

まだオンライン契約はそれほど普及していない印象もありますが、遠方どうしの取引などに利便であることは確かです。
さまざまな分野における電子化、オンライン化。
異常気象や高齢化の解決にもなりそうです。

例外的な契約、合意内容などを含め、お問い合わせはフォームからどうぞ。
宅地建物取引業者免許申請や、相続した不動産の御相談も承ります。