終活はまず話し合っておきましょう 葬儀・遺言・相続

令和5年ももう残すところ僅かになりました。
年末年始は家族や親しい友人で集まることが多い時期。
毎年お伝えしていることですが、
この時期こそみんなで話し合っておきませんか、終活のこと。

なぜ話し合っておくべきか

例えば尊厳死宣言。
尊厳死宣言書を公正証書として作成してあっても、
突然に交通事故で脳死の状態になったら?
駆け付けた家族は医師から「いま」人工呼吸器をはずすか付けるか決断を迫られ、
家族としては突然の別れを受け入れられず、
本人が以前に尊厳死宣言書を作成したことを知らなければ、又はなんとなく聞いていたとしても
「もう少し命を長らえてほしい」となるのではないでしょうか。

そのような緊迫した場面でなくとも、家族といえども自分ではないので考えはそれぞれ。
早めに話し合い、説明して理解してもらっておくことは大切です。

終活 何を話しておくか

1.病気や事故 延命措置は受けたくない/延命してほしい
なぜ延命措置を拒否するか/受けたいか

→ すでに入院している場合等は、終末医療の事前指示書を準備する。
書式を用意している病院も多くあります。
→ 延命措置を受けないならば尊厳死宣言書を公正証書で作成する。
→ 延命してほしい場合は、そのことを家族などに伝えておく、エンディングノートに記載しておく。

2.亡くなった直後には

・友人、親戚の誰に連絡してほしいか
・仕事などで必要になる連絡先
・葬儀に関する希望 ~葬儀不要/すでに葬儀社の会員になっている/その他
→ 会員になっている葬儀社の連絡先を周囲に知らせておく
→ エンディングノートに希望を記載しておく
→ 葬儀費用のための保険に加入していれば保険証書の保管場所

2.葬儀が終わってから

・誰に何を相続させるか
・子の認知や寄付など、遺言でできる行為をしたい
→ 遺言作成がよいでしょう。
遺言は、公正証書にしてあっても作成しただけでは自動的に実現されるものではないため、遺言執行者を選び公正証書にするのが最も安心できる方式です。
公正証書ではなく自筆遺言の場合は正しく実行される方式や文言で作成し、法務局保管や信頼できる人に預けておき、いざというときに役立つようにしておきましょう。

♣寄付
寄付したい団体や、贈与したい相手があればその内容を遺言にすることもできます。
♣推定相続人の廃除
法定相続人の中に廃除したい人がいる場合で生前に申立手続きをしていなくとも、遺言によって廃除申立を遺言執行者に委任することが可能です。
実際の申立は遺言執行者が行います。

<廃除の注意点>
相続廃除は民法第892条及び893条に規定される制度であり、規定に該当する推定相続人だけを廃除することができます。
(参考)民法
(推定相続人の廃除)
第八百九十二条 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
(遺言による推定相続人の廃除)
第八百九十三条 被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

年末年始も仕事や家庭で多忙な人もいらっしゃいますが、物事をじっくり考えるには良いきっかけです。

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