起業の第1ステップ 設立準備~事業のインフラ

複業が認められる/推進される企業や学生による起業も一般的になりました。
法人の形態も株式会社に限らず合同会社、非営利法人、組合など、事業の目的や設立後の方針に合わせて自分達で調べながら検討できる時代でもあります。

■令和設立企業の動向調査■
株式会社商工リサーチのサイト(2023年4月27日付)より引用
「令和」生まれ企業 4年間で約53万社 商号最多は「link」

本記事によれば最多業種はサービス業で4割、そのなかで社数トップは学術研究、専門・技術サービス業の7万5,983社だそうです。

<2つの起業家タイプ>

1. 事業分野が明確に決まっている
特定の技術を保有している/研究している、事業を発展させたい分野が明確な起業家
上記グラフの学術研究、専門・技術サービス業が該当するケースが多いでしょう。

2. 分野にこだわらず、事業成長が目標
自分が経験を積んだ分野や業種にこだわらず、事業による利潤という点にフォーカスした起業家。
このタイプには早い時期のIPOを希望する経営陣が多い印象があります。
IPOは目標ではなく一つの手段・過程でしょう。

<事業のインフラ>

1. 資金調達

人・モノ・金が基盤になることは現在も変わりません。
準備開始の段階では、そもそも資本金をいくらにするか、から始まります。
共同設立であれば、500万円以下の現物出資(適正な価額評価で)の現物が設立時点で有用なこともあります。
設立時だけでなく成長段階に応じて必要資金への対応もポイントです。
資金調達手段も多様化しており自らの保有資金、ベンチャーキャピタルによる出資、投資家からの投資、クラウドファンディングによる調達なども考えられます。
国、自治体、中小企業庁などによる創業支援も利用したい手段の一つです。

2. 管理部門やITのアウトソース

会計経理、法務、知財などの専門知識を備えた“人”が創立メンバーになっていることも現代では珍しくありません。
不在であれば、人事労務、経理税務、法務、知財などを信頼できる外部人材に任せることで、常用人員を抑えながらサポートしてもらいましょう。

 法務から
  事業開始のためには、特に法的規制の有無、許認可の必要性確認が重要です。
事業開始第一歩から無許可営業、などという事態に陥らないよう事前の確認を要します。
新規アイディアによるビジネスの場合には法規制の判断が難しいケースもあります。
そのような場合はグレーゾーン解消制度を利用してみて下さい。
(参考)グレーゾーン解消制度 経済産業省

法務から
新規アイディアであればあるほど、定款の内容、投資を受ける条件や投資家との契約、監督官庁への手続などの専門知識は必須です。
事業が進行した後では訂正できない法的な問題もあります。
準備段階から適法を意識することが、後日のトラブル回避につながります。

税理士、弁理士、弁護士など相性の良い・信頼できる専門家との連携は必須。
行政庁公式以外のwebで拾った情報を鵜呑みにすることはリスクが高いものです。
余談ですが、例文サイトの誤字そのまま定款に載っている事例を見かけました。
※行政書士は許認可、外国人在留、行政手続き、定款、契約書作成など『事実証明の専門家』です。

3. 収益・販路計画

企業は利潤をあげて継続できるものです。事業計画の中でも重要ポイントが収益計画。
物品販売だけでなく役務提供でもD2C(Direct to Consumer)も一般的になりました。

4. 先輩経営者

すでに法人設立をなし、成長させている先輩の実体験やアドバイスは有益です。
先輩以外でも、一緒に検討協議できるメンバーも助けになります。
大規模企業の経営陣のアドバイス、起業準備中の知人の情報も役立ちます。


【法務視点】
<定款の事業目的>
 当初から何もかも事業目的に並べることはお勧めしません。
「不動産売買」「人材派遣」「飲食店経営」「中古車販売」「旅行業」「建設業」など、事業目的が10も20も並んでいる、小数名人員の会社もあります。
業種にもよりますが、資格保有者や事業所要件を意識せず、本人や家族が興味ある事業を羅列していては取引先候補や金融機関からの信頼を損なうおそれもあります。
※行政書士は許認可申請の専門家です。

<外国籍人材の雇用>
国籍と民族・出身は異なる要素ですから、外見が東洋人でなくとも国籍は日本という方もいます。
一般的に従業者採用の際には住民票などの提出により本人確認をします。
外国籍の人であれば、適法に仕事をできる在留資格を保有しているか、住民票だけでなくその時点で有効な在留カードを提示してもらいます。
また外国人を雇用した後の届出も義務付けられています。
出入国在留管理庁のサイトで、在留カードの真正を確認できるアプリが公開されていますので、本人の同意を受けて利用して下さい。
「在留カード等読取アプリケーション」

新しい技術やサービスでより暮らしやすい社会になるよう期待が高まります。
当事務所では中小法人の法務を承ります。