借地に建てた家 ・ 貸している土地 底地

 いつも素敵な賀状を下さるクライアントから、今年も素敵な年賀状をいただきました。
「人生はよく山登りに例えられるけれど、自転車でスイスイとのぼる」のも一つのスタイル。
努力もしながら事業に成功していらっしゃるクライアントならではのコメントですが、利用できるリソースは上手に使って進みましょう、という意味合いと解釈しています。
皆様も“身近な法律家 女性行政書士”を使って予防法務をなさって下さい。

今回は土地の話です。
元旦から能登半島では大地震の被害にあいました。
日本は地震の多い国
それでも伝統的に土地、建物という不動産信仰も根強くあります。
同じようにコツコツと働いている人でも、価値の高い不動産を相続した人とそうでない人では、人生という山登りに大きな差がでるのは事実です。

 昨年2023年の実感として、祖父母の時代から住んでいる自宅が借地上にあるケース、
逆のケースでは両親の代からずっと建物所有のために賃貸している所有土地の処分、の御相談が複数ありました。

【サンプル1】
祖父母の代から長く住んでいる自宅が借地上にある自宅

1.1 地主に相続が発生し、地代の増額を請求された。
これは典型的な御相談です。
地代増額にかかる借地人サイドの注意点
家屋は自分の祖父母や父母、又は自分が建築して所有者として登記してあります。
ほとんどの方が「昔から知っている人が地主なので、契約書は作らなくても大丈夫」だと何十年にもわたって認識し、実際に契約書は無いケースが多くあります。
地主サイドで相続も発生します。経済事情も変わっていきます。
(1) 付近の相場や地主の負担する租税公課などを考慮して、合理的な増額か
(2) 契約書があれば、一定期間の増額禁止条項の有無
 当事務所から
借地人の立場、地主の立場の両方からの御相談を承り、紛争性の無いケースであれば、近隣相場の確認~通知書の作成~土地賃貸借契約書作成まで一式で行ないます。

1.2 屋の増築や建替も地主に伝えず行っている。
借地上の建物の増改築・建替の注意点
(1) 契約書があれば禁止特約の有無
(2) 非堅固建物から堅固建物へ建替える場合
(3) 借地契約更新後の建替でないか
(4) 現行法に基づく道路づけができているか
(5) その他の現行の建築基準法等に基づく建物でなければ、残すことができない
(6) 地主の承諾料が必要なことがある

(参考)借地借家法 (地代等増減請求権)
第11条 地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。
ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

【サンプル2】
父の代から、所有する土地を3人の借地人に貸していたがこの底地を売却したい。
借地人は全員が土地上に店舗として木造家屋を建て、今も古くなった家屋が残っている。

2.1 借地契約書が無い。

底地の買い手候補からは、3名の借地人との借地契約の継続を条件と言われている。
 当事務所から
現在までの地代の入金履歴、借地人の状況等を確認し土地賃貸借契約書をあらたに作成しましょう。

2.2 借地人のうち1名が高齢であり、借地権の存続期間30年以上(最初の更新時は20年以上)の契約締結に難を示している。
当事務所から
法第23条2項に基づき事業用定期借地権契約にすることで、契約期間10年間の契約を締結する。
但し公正証書にすることが必要。

(参考)事業用定期借地権等
第23条
2 専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を十年以上三十年未満として借地権を設定する場合には、第三条から第八条まで、第十三条及び第十八条の規定は、適用しない。

当事務所は
●どうしたら、目的を達成できるか
●関連するリスク、数年後のリスクをできる限り回避する
上記の2点を考慮しています。

賃貸借契約書の内容は重要です。
“よく知っている人だから大丈夫”は永遠ではありません