契約書 定期建物賃貸借契約(定期借家)
この数日、積水ハウスによる国立市にほとんど完成したマンションを景観保護のために解体する(!)というニュースが話題です。
購入して来月に移転する予定だった顧客はどうなるのか、他人事ながら心配です。
当事務所で特に得意とする分野は「契約書・合意書・協議書等の作成」です。
最近は相続した不動産を「自分では利用しないし、売却する相手はすでに決まっている」というケースも増えてきました。
現状有姿の条件で買い手が知人・隣人・親族であっても、売買契約書締結が後日のトラブルを防止します。
さて今回は定期建物賃貸借契約について
例えば
・転勤が3年以上予定されている
・親が高齢で施設に入居するが、まだ売却するとは決められない
・数年間は店舗を使わない事情がある
■「普通借家・普通建物賃貸借契約」との大きな違い
賃貸に出している建物の契約を決まった時期に終わらせたい
普通借家契約は、「期間満了の1年前から6か月までの間に更新しない旨の通知をする」ことが必要です。
これを怠ると期間を定めずに同条件で契約更新するものとみなされます。
しかも借地借家法第28条により、更新拒絶には自身による利用等の正当事由が求められます。
(参考)借地借家法
(建物賃貸借契約の更新等)
第26条 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
2 前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。
第3項は省略
(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第28条 建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
定期建物賃貸借契約ならば
♠法26条、28条、民法619条(賃貸借の更新の推定等)の適用を受けません。
♠契約期間を1年未満とすることも可能です。
♦法第38条を誤解しないように。
「期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り」とありますが、公正証書でなくとも“書面で契約締結”すればよいという意味です。
但し
♣契約書には記載が必要な事項があります。
♣契約前の書面交付の義務などが定められています。
♣事前の賃貸借終了通知が必要です。
ほかに
●借家人から解約申入れができます。
●双方が合意すれば、期間満了後に再契約などもあり得ます。
あくまでも建物の賃貸借に適用されるものですが、法を上手に利用して不動産の保有をなさることをお勧めします。
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