ほかにも子が居た 相続はどうする

・遺言書作成
・すでに亡くなった方の相続手続き
・遺産分割協議書の作成
等の御依頼があったときには、まずは遺言作成の本人/被相続人(=亡くなった方)の出生からの戸籍を収集します。
収集した戸籍により、亡くなった人の法定相続人が、家族が認識している人物だけか、他に“家族が知らなかった”法定相続人が存在するか確認します。

家族が知らなかった、非嫡出子(婚姻外の子)や前婚での子が戸籍により判明したとき、相続に影響があります。
戸籍の取り寄せ
“出生から死亡までの戸籍”の収集は一般にはわかりにくいものです。
特に出生が昭和以前の被相続人の場合には、戸籍の種類も多くなります。
古い戸籍(除籍)、住民票(除票)、戸籍の附票などはすでに役所で廃棄をしてしまっていて、廃棄したということ=廃棄した内容も証明できない、という状況もありえる事です。
遺産分割協議書作成などを専門家に依頼なさるときには、できるだけ戸籍等の取り寄せも併せて御依頼ください。
費用はかかりますが御遺族の事務作業ストレスが軽減され、時間がかからず全てを揃えることができます。


■非嫡出子とは
婚姻していない男女間の子です。
法定相続分は嫡出子と同じ。
生前に認知している場合には、被相続人の戸籍のどれかに「認知」という欄があります。
その欄に「認知した子の氏名」「認知した子の戸籍」などが記載されています。

生前に認知していない場合でも、遺言で認知する、父親の死亡後3年以内に“認知請求の訴え”をする、ということが可能です。

【参考】民法第787条(認知の訴え)
子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。

■前婚の子とは

再婚(または3度目以上の婚姻)であっても、たまたま配偶者がそのことを知らないこともあり得ます。
前婚で子が生まれていれば、被相続人の戸籍でその存在が判明します。

[遺産分割協議への影響]

・遺産分割協議の成立前
 成立前に、上記のように今まで認識していなかった法定相続人の存在が判明すれば、遺産分割協議に参加してもらうことになります。
遺産分割協議書の有効な成立には、法定相続人全員が参加していることが要件です。

・遺産分割協議の成立後
協議がいったん成立して相続登記などの手続きが完了した後に、上記の子が判明したときには、その子の相続分を価格で賠償します。

[遺言執行者が指名されていたら]

遺言により遺言執行者が指名されているケースでは、遺言執行者は相続人に通知する義務があることが民法で規定されています。

◇ミニ知識  遺言執行者の義務◇
遺言執行者の義務が民法に定められています。
第1007条(遺言執行者の任務の開始)
遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
第1011条(相続財産の目録の作成)
遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
2 遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。

つまり、遺言執行者になったときには、法定相続人全員に遺言の内容を通知する義務があります。

出生からの戸籍では子のほかにも、若い頃に名を変更していた事実がわかるなど、様々な事実が判明するものです。
また明治5年式戸籍までは、各地の様式がそれぞれ異なり統一されていませんでした。
大正4年までの旧法戸籍~平成6年以降の戸籍コンピューター化までは手書きの戸籍事項が読みにくいものが多く、住居表示も現在とは異なり、複数の夫婦が一つの戸籍に記載されるなど、行政書士としては興味深い内容ですが、一般のクライアントには難解と思われます。

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