小さな会社の総務、法務~社内規程の有効性に留意

年末年始の休みもおわり、すでに令和5年1月も業務を開始していらっしゃると思います。

2023年卒の新卒入社だけでなく通年採用・中途採用など、新人入社の季節である3月4月はすぐ目の前です。
来期開始までに整備したい社内規程のアップデート。
定款と社内規程は「会社の法律・法令」です。

定款については以前のコラムでも書いたように、会社設立のタイミングで雛型のままの定款で開始した企業が多くあります。
事業が落ち着いた段階で、自社の状況に合った定款にブラッシュアップすることをお勧めします。
「雛型のまま」定款では、増資や事業目的変更などの場面でお困りになることがあります。

さて社内規程です。
就業規則は社会保険労務士分野ですが、他の社内規程と齟齬が無いようにすり合わせる必要もあります。
また、規程以外に細則・マニュアル・誓約書などで現実的な運用手順を定める際にも、それぞれの連携を確認して齟齬の無いように留意します。

社内規程は自社内だけのものとはいえ、その有効性に疑義があってはいざというときに会社の力になれません。
下記の点に留意して整備を進めて下さい。

1. 日本国内の法令を遵守していること。
  ┗ 就業規則以外のどの規程であっても直接的な法令の定め、及び、
   包括的に人権や企業内のルールとして変更できる範囲であるか、
        等を確認しながら整備します。
2. 用語の定義を明確にする。
  ┗ 「適切に」「適宜」等は使いがちですが、その定義をできる限り明確にします。
3. 一般的な合理性のあるルールにする。
  ┗ 営業秘密を守るなど、企業を守るためのルールが行き過ぎて合理的ではない規程がときどきあります。
   また、以前に実際にあった不正行為を防止する目的もあるでしょうが、
         一般的な合理性からかけ離れてしまうと、
   いざというときには有効性に疑義が生じるおそれがあります。
4. 施行前に合理的な期間内(意見を募集しない場合でも2週間以上が良いでしょう)に、全社に向けて説明及び開示する。
  ┗ 社内規程をつくり、そのまま社員に開示せずいつの間にか施行するのではなく、必ず事前に開示して説明をします。  
5. いつでも社員がその規程の内容にアクセスできるよう、確認できるようにしておく。
  ┗ 社内情報共有ツールでも、紙媒体でもどちらでも良いですが、
    社員が見たいときに規程を見られるようにしておきます。

◇ミニ知識 パブリック・コメント制度◇
根拠法:
行政手続法 第6章「意見公募手続等」
パブリック・コメント制度とは、
国の行政機関が政令や省令等を定めようとする際に「事前に」広く一般から意見を募り、その意見を考慮する制度です。

出典 e-gov パブリック・コメント

この制度も社内規程の施行フローの考え方として参考になります。

小さな会社では、取締役が営業などの事業系の出身のメンバーが主になっている会社が多いようです。
その中で、総務人事法務を任される担当部署、担当者は包括的な知識を持ち、自部署(自分)の発案で業務を進めることが必要です。
法令は毎年改正され、昨今は技術の進歩スピードが予見できないほどの速さです。
とはいえ、まだ全てをAIに任せるのは時期尚早。
時代に応じ、総務人事法務のスキルで事業を強力にサポートしましょう。


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